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記憶の闇に葬り去られようとしているlogのことを思い出してみる(2/2)

logのことを思い出してみた前回のエントリの続きになります。
記憶の闇に葬り去られようとしているlogのことを思い出してみる(1/2) - 気が散るTシャツ。

指数・対数における定義や性質を思い出してみる

指数における定義

指数には0乗を1とする定義があります。 {
a ^ 0 = 1 \tag{1}
}

対数の性質

対数では、真数が1のとき0になるという性質があります。 {
\log_a{1} = 0 \tag{2}
}

対数の意味を思い出してみましょう。「底が真数となるために底を累乗する数」でしたね。
ここでは、aが1になるために{a ^ {ここに入る数} }となります。
aが1になるためにaを何乗すれば良いかを考えた時、指数において(1)の定義が存在するので必然的に(2)が導かれます。

グラフで確認してみる

次の2つの関数をグラフに表すとどうなるか見てみましょう。

  • {y = x ^ 2} (緑の線)
  • {y = \log_2{x}} (紫の線)

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指数関数(緑の線)とy軸の交点で(1)の定義が、対数関数(紫の線)とx軸の交点で(2)の性質が確認できます。

真数 > 0

対数における真数が0より大きいという性質があります。

{log_a{b} (b > 0) \tag{3}}

真数は底を累乗して得られる数です。 先ほどのグラフを見れば一目瞭然ですが、指数関数はどんなにxを小さくしても(マイナスでも)常に0より大きくなります。

{y = a ^ x > 0} \tag{4}

真数の掛け算・割り算の分解

対数においては、真数の掛け算や割り算を対数の和や差の表現に直すことができます。

{\log_a{(m \times n)} = log_a{m} + log_a{n} \tag{5}} {\log_a{(m \div n)} = log_a{m} - log_a{n} \tag{6}}

これらは、指数法則を使って証明することができます。
詳しくはググってみてください! {a ^ {m + n} = a ^ m \times a ^ n} \tag{7} {a ^ {m - n} = a ^ m \div a ^ n} \tag{8}

ちなみに、前回のエントリで出てきた{\log_3{3 ^ x}}は、{x}個の{\log_3{3}}の和に分解できます。

{\log_3{3 ^ x} =  \log_3{3 \times 3 \times 3 \times \dots \times 3} = \log_3{3} \times \log_3{3} \times \dots \times log_3{3} = x \times log_3{3} } \tag{9}

底の変換公式の証明

対数の計算がやりやすくなる、底の変換公式というものがあります。

{\log_a{b} = \frac{\log_c{b}} {\log_c{a}} } \tag{10}

これを証明してみましょう。

{a ^ {\log_a{b}} = b } \tag{11}

この当たり前の式からスタートします。
まずは両辺について{log_c}をとります。

{\log_c{a ^ {\log_a{b}}} = \log_c{b} } \tag{12}

真数の指数は係数として前に出せます。

{\log_a{b} \times \log_c{a} = \log_c{b} } \tag{13}

あとは変形しておしまいです。

{\log_a{b} = \frac{\log_c{b}}{\log_c{a}}} \tag{14}

逆関数

前回のエントリで、「指数と対数は同じようなことを別の方法で表現しているに過ぎない」と書きましたが、この2つは逆関数の関係にあります。
逆関数とは、ある関数を独立変数について解いたものになります。
例えば{y = 2x}の独立変数は{x}、従属変数は{y}になり、逆関数{y = \frac{x}{2}}となります。

指数と対数について確認してみましょう。
この指数関数を{x}について解いて逆関数を求めてみます。

{y = 2 ^ x} \tag{15}

まずは両辺のlogを取ります。底は2とします。

{\log_2{y} = \log_2{2 ^ x}} \tag{16}

右辺を展開します。

{\log_2{2 ^ x} = x} \tag{17}

従って(16)は次のようになります。

{x = \log_2{y} \tag{18}}

ここで、形式的に{x}{y}の文字を入れ替えます。
本質的に意味はありませんが、慣例的に{x}が独立変数、{y}が従属変数に使われる事が多いので、表現を合わせます。

{y = \log_2{x} \tag{19}}

これで(15)の逆関数が求まりました。
最初の方に出したグラフを見ると、{y = x} でそれぞれ対称になっているのがわかります。

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指数関数の性質をもつ現象を対数に変換して扱いやすくすることもあります。 これでひとまずlogのことを思い出せたので、指数・対数の復習はおしまい。